要点N 『 Function― 関数・比例』
T関数
▽とある集合AとBがあり,Aの各要素に,一定の規則によってBの各1要素がそれぞれ対応づけられるとき,をAからBへの写像と呼び,これを“:A→B”と書き表すが,数の集合Aから数の集合Bへの写像のことを関数と定義される。
▽しかし,上のような説明を中学生が理解するのは非常に難しいし,その必要もない。次のように抑えておけばよいであろう。
▼変数,があって,のおのおのの値に対応しての値がただひとつ決まるとき,はの関数であるという。
▽上の説明でも理解できないものがいるだろうが,それはそれで構わない。早くとも高校2年までは理解の要求はされない。
▽関数の表し方は次の4通りある。
(1)式 (2)矢印と言葉 (3)表 (4)グラフ
・・・(1),(4)が一般的である。
U変域・定義域・値域
▽関数において,とはともに変数であるが,変数のとりうる値の範囲をこの関数の定義域といい,これに対応して定まる変数の値の範囲をこの関数の値域という。関数の問題に関わらず,変数の取りうる範囲のことを変域という。
V不等号などの記号について
eg; 5>2 ,77 ,c0
▽ “>”,“<”・・・「より大きい」,「より小さい」状態を表す。その数自体は含まず,数直線上や座標上でその値の箇所を小さい“○”で表す。
▽ “”,“”・・・「以上」,「以下」の状態を表す。その数自体含み,すう直線状や座標上でその値の箇所を小さい“●”で表す。
▽ “”・・・その値でない状態。等しくない状態。
▽これらは,変域・定義域・値域を表す際に用いる。 eg; (-5<4)
▽ “( , )”・・・値を表すときに用いる。
eg; =1,=-4 ⇔ (,)=(1,-4)
cf; と書いてもよい。但し,中学範囲では何処も見かけない。
W比例
▽ 関数がのような式であるとき,はに比例するといい,□の値を比例定数(=傾き)という。比例定数はとおくのが一般的であるようだ。また比例定数は0でない。
▽ このとき比例定数は,=1のときのの値に等しい。
▽ 必ず(,)=(0,0)をみたす。
▽ はに比例するとき,の値が2倍,3倍,・・・・・になればなるほど,それに対応するの値も2倍,3倍,・・・・・となる。
▽ において,(,)=(,),(,)を満たすとすると,=で求めることが出来る。
要点OP 『座標・比例のグラフ』
T座標
(1)座標平面・・・・右図のような,2本の数直線が両方
の原点で交わっている図。一般に,垂直に交わる。
▽の値を表す数直線のことを「軸」と呼び,一般に
横軸で表す。 o
▽の値を表す数直線のことを「軸」と呼び,一般に
縦軸で表す。
▽軸,軸あわせて座標軸,その交点を原点O(オー)と呼ぶ。
▽以上3つは座標平面を書く上で必ず書かなくてはならない。
(2)座標
▽ eg; =4,=3を意味する点Pを,P(4,3)のように書く。このとき,の値を座標,の値を座標と呼ぶ。
▽座標平面にて,
1. >0かつ>0の部分・・・第1象限
2. <0かつ>0の部分・・・第2象限
3. <0かつ<0の部分・・・第3象限
4. >0かつ<0の部分・・・第4象限
←反時計回り順。座標軸上は含まない。
☆軸,軸により描かれた座標平面を「座標平面」または「平面」と呼ぶ。
U対称な点の座標
eg; (,)に対して
(1) 軸について対称(線対称)な点は(,-)・・・座標の符号が変わる。
(2) 軸について対称(線対称)な点は(-,)・・・座標の符号が変わる。
(3) 原点について対称(点対称)な点は(-,-)・・・両座標の符号が変わる。
V点の移動
点A(,)を軸方向に,軸方向に移動させた点Bは,B(+,+)と表れられる。
W幾何
(1)中点の座標
2点A(,),B(,)のちょうど中間点の座標は,で求まる。値が負でも気にしなくてよい。
(2)座標平面上の面積の求め方
☆単位は要らない。考えない。
@図形の内部を分割し,分割された部分の面積を求める。
A求める図形を取り囲む部分の面積を求め,余分な部分の面積を取り除く。
Bその他
三角形において
イ)△OABにおいて,O(0,0),A(),B()とすると,
△OAB= で求めることが出来る。 (“”は絶対値記号。)
ロ)△ABCにおいて,A(),B(),C()とすると,
△ABC= で求めることが出来る。
X比例のグラフ
(1)比例のグラフ: ()のグラフは,原点を通る直線となる。
(2)比例のグラフの特徴
1.傾き:>0のとき・・・右上がりの直線となり,
が増加するとも増加する。
2.傾き:<0のとき・・・右下がりの直線となり,
が増加するとは減少する。 (>0)
(3)比例のグラフの書き方
・・・直線は2点によって決定するから,座標平面状の2点
を書き,それを通る直線を引く。
一般に原点ともう一点が分ればよい。 o
(4)補足
・直角に交わる2つの関数の傾きの積は-1のなる。
・変域が設定されていたら実線でその部分を表し,破線で延長する。 (<0)
(境界の点を明確にする。)
要点Q 『反比例』
T反比例
(1)反比例
・・・2つの変数,の間に,定数()を用いて,やといった関係があるとき,はに反比例するという。を比例定数といい,これはとの積であり一定である。
(2)反比例の性質
・・・がに反比例するとき,の値が2倍,3倍,・・・・・となれば,それに対応するのあたいは倍,倍,・・・・・となる。
U反比例のグラフ
(1)反比例のグラフ
()のグラフは,原点に点対称な一組の滑らかな曲線となる。
これを双曲線という。
(2)特徴
1.傾き:>0のとき・・・グラフは第1象限と第3象限にあり,
が増加するとは減少する。
2.傾き:<0のとき・・・グラフは第2象限と第4象限にあり, o
が増加するとも増加する。
3.のグラフでは,軸,軸と交わることはない。
グラフは軸,軸に限りなく近づいていく。
(3)反比例のグラフの書き方
・関数を満たす,任意に数を代入することで座標をいくつか求め,滑らかな曲線で結ぶ。
・変域が設定されていたら実線でその部分を表し,破線で延長する。
(境界の点を明確にする。)
要点R 『比例・反比例の利用』
Tその他のグラフ
(1)のグラフ
・・・()を通り,軸に平行な直線となる。
☆グラフの線と軸の交点を切片という。
(2)のグラフ
・・・を通り,軸に平行な直線となる。
U変数の関係
変数,,()と定数によって表された式=について。
(1)移項によりと表すことができる。
(2)定数()によりならば,
より,が定数から,とは比例関係にある。
(3)定数()により=ならば,
より,が定数から,とは比例関係にある。
(4)定数により=ならば,より,が定数から,とは反比例関係にある。
Vグラフの利用
比例についての問題を,グラフに表すと分りやすいことがある。